制作費0円・月1万円のホームページ契約──その正体は“高額ローン”

地方で繰り返される被害の構造とは?

私は仕事柄、1〜2ヶ月に一度の頻度で、同じような話を聞きます。

「東京のホームページ会社に頼んだんですが……」

この相談は、ほぼ例外なく同じ流れで進みます。
まずお客様は、営業担当から提示された“夢のようなプラン”を説明してくれます。


■ 典型的な「全部無料、月1万円」のセールストーク

  • 制作費0円
  • 初期費用なし
  • 毎月1万円だけ
  • 修正無料
  • ページ追加無料
  • SEOも無料
  • サポートも無料
  • 面倒なことは全部任せてOK

これだけ聞くと、

「全部込みで月1万円のサブスクサービス」

に見えてしまいます。

しかし、ここに“重大な罠”があります。


■ 実態は「高額ローン(クレジット契約)」

利用者は“サブスク”のつもりでも契約は“ローン”

この相談者に私が必ず確認する質問があります。

「これ、クレジット契約じゃないですか?」

すると、ほぼ全員が黙り込みます。

話を整理すると、実際の契約内容は次の通りです。


● 月1万円 × 5年(合計60万円)

  • 実態:ローン契約
  • 金利を含めると 70〜80万円近く

● 解約不可

  • 辞めた瞬間に 残金一括請求

● 制作会社は契約直後に「全額一括入金」

  • → 5年間サポートする必要がそもそもない

つまり利用者は “毎月1万円のサブスクの感覚”。
しかし実際は 高額ローンの長期契約 です。
契約書を見ていない 契約書の「裁判は東京の裁判所で行う」と記載されている


【追加要素1】もっと悪質だった時代の契約:月3万 × 7年(252万円)

最近は少なくなりましたが、10年前はもっと過激な契約が横行していました。

■ 月々3万円 × 7年(総額252万円+金利)

  • 月3万の負担
  • 7年契約
  • 総額は車が買える金額

にもかかわらず、営業担当はこう言います。

「専門スタッフが常駐しています」
「自社で人材を雇うより安いですよ」
「ホームページで売上が増えるので、そこから払えます」

しかし現実は簡単です。

そんな人件費がかかっているはずがない。
売上も水物で、約束どおりにはならない。


【追加要素2】営業トークの正体

● 「専門スタッフ」は外注・アルバイト・名ばかり担当

もし本当にスタッフを雇い、

  • デザイン
  • コーディング
  • SEO
  • 修正
  • 運用指導
  • サーバー管理

これらを全部提供していたら、

月3万円どころか月30万円でも足りません。

つまり、営業トークは現実とはかけ離れた幻想です。
そして実際には何もしてくれず、ほとんどの人が 泣き寝入り になります。


【追加要素3】会社の実態:

3〜5年で会社が消える → 別名義で再スタート

こうした会社は長続きしません。
私の観察では、

■ 3〜5年で会社が消える(倒産・解散・法人変更)

その後どうなるか?

→ 別会社として復活し、同じ商法を繰り返す

つまり、

会社名だけ変えて、同じ手口で新しい被害者を作る。

地方では情報が横に広がりにくいので、
この構造が延命してしまいます。


■ なぜ地方で被害が多いのか?

地方で同じ手口が繰り返される理由には、
以下の構造が関係しています。


1. “東京ブランド信仰”

「都会の会社=技術が高い」
「東京の会社に頼んだ方が格上」
という不思議なブランド志向。


2. ネットリテラシーの差

専門用語で畳みかけられると断りづらい。


3. 地元業者への不信感

「地元の業者はレベルが低い」と思い込む人が一定数いる。


4. 契約の裏側を相談できる相手がいない

商工会や専門家に相談しないまま契約してしまう。


この4つが揃うと、
悪質な契約を見抜けないままサインしてしまいます。


■ 被害者は「契約後に」気づく

相談に来られる方は、決まってこう言います。

  • 「途中解約できないと知らなかった」
  • 「サポートがほぼ来ない」
  • 「修正依頼が全然返ってこない」
  • 「テンプレート丸出しだった」
  • 「地域SEOが全く効かない」

最終的には、

「別の制作会社に依頼し直しました」

つまり……

高額ローンだけ残り、ホームページは機能しない。

これが最大の損失です。


■ 結論

「この商売は、本当に終わりにしてほしい。」

制作に長く関わってきた立場として、
同じ被害が何年も繰り返されるのは耐え難い現実です。

  • 不透明な契約
  • 高額ローン
  • 名義変更を繰り返す制作会社
  • 実質的に存在しないサポート体制
  • 地方事業者を狙う営業手法

そろそろ終わりにしてほしい仕組みです。


■ 本当に必要なのは「相談できる相手がいること」

ホームページは、作って終わりではありません。

  • デザインの見直し
  • SEO
  • 文章追加
  • 写真撮影
  • 画像差し替え
  • サーバー保守
  • セキュリティ
  • バックアップ
  • Google対策
  • AI最適化

これらを継続して行って初めて成果が出ます。

“5年ローンで作って終わり” のサイトでは何も変わりません。


■ 最後に:ホームページは「誰と作るか」で結果が決まる

地方で本当に必要なのは、次のような相手です。

  • 契約内容がシンプルで明確
  • 分かりやすく説明してくれる
  • 長く付き合える
  • すぐ相談できる
  • 地域の特性を理解している
  • 現実的な運用方法を尊重してくれる

そして最後に、強く伝えたいのはこれです。


◆ 契約前には必ず “商工会” や “消費生活センター” に相談すること

◆ ホームページのクレジット契約は絶対にしないこと

契約書の「裁判は東京の裁判所で行う」条項に注意